白衣の王子様の恋愛感 【番外編12月7日up】
高3年の夏休み、予備校で毎日つぶれた。
17歳の夏休みは1度しかないのに・・・。
夏休みも残す所あと1週間となった頃、いつものように予備校を出た。
すかっり日も暮れて、駅のすぐ近くにある予備校の前は飲んだ帰りのサラリーマンのおじさんがよく通る。
それを避けながら、駅へ急ぐ。
「ねえ、国分さん!」
後ろからかけられた男の人の声に振り向く。
そこには、同じ予備校の同じクラスの男の子と女の子が4~5人いた。
「俺達、これからカラオケ行くんだけど、一緒に行かない?」
「そうそう。夏休みもそろそろ終わりじゃん?この夏期講習も、もう少しで終わりだし、もしかして同じ大学になるかもしれないし。もっとみんなで仲良くなろうってことになってさあ。」
「せっかく、知り合えたんだからもったいないじゃない?」
席も近くてよくおしゃべりをする男の子と女の子たち。
でも、みんな高校はそれぞれ違う。
情報を交換できるのは受験でプラスになるかもしれないけど・・・。
スマホの時計を見れば20時過ぎ。
今からだと家に帰るのが遅くなりそうだ。
「う~ん、今日はやめておくね。・・・帰って今日の復習もしたいし・・・。」
そう言って軽く手を振る仕草をした。
「そんなこというなよ。予備校もあと2~3日だし、会う機会もなくなるかもと思うと寂しいじゃん。帰りなら家まで送るからさあ。行こう、行こう。」
「でも・・・。」
言いかけた言葉は最後まで言わせてもらえなかった。
振るために上げた手を掴まれ、近くのカラオケが入るビルへと連れて行かれた。