白衣の王子様の恋愛感 【番外編12月7日up】
車が止まる気配がした。
カチ、カチ・・・とハザードランプが付いた事がわかる。
ふいに、スカートを握り締めていた手をゆう君がふわっと包む。
その温かさに涙が止まる。
そして、見上げる前に、その手を引かれた。
自然と身体がゆう君の方に傾くと・・・抱きしめられた。
男の人のスッキリとしたシャンプーの香りとゆう君自身の香りに包まれる。
もう、お風呂に入って寝る所だったのかな・・・。
さっきまでの恐怖感が一気に抜けて、安心した気持ちと申し訳なさに涙がまた出はじめた。
しゃくりあげる私を、黙って背中をよしよしとしながら、ゆう君は涙が止まるのを待ってくれた。
やっと涙の終わりを感じて、口を開く。
「・・・ごめんね。こんなに泣いちゃって・・・。」
「・・・イヤ、オレが酷い事を言ったから。・・・。こっちは心配していたのに、男と2人でいたからイライラした。」
「ごめんね・・・。好きでいたわけじゃないよ。」
「わかってる。・・・ノリはそんな子じゃない事、わかってるから。」
「うん・・・ありがとう。」
「でも、経緯を聞かせて。伊知子さんに報告しなきゃいけない。」
ずーとゆう君に抱きしめてもらったまま、ポツポツと話す。
狭い車の中、けっこう体制的には辛いけど、私は離れたくなくて、そのまま説明した。
カラオケに誘われ、断りきれなかった事。
ママに電話しようとしたけど、タイミングがつかめなかった事。
男の子に告白され無理やりキスされそうになった事。
「避けたら、そのまま、ほっぺにキスされた・・・。」
思い出したらまた涙が目に貯まってきた。
だって本当に気持ち悪くて、イヤだったから・・・。