白衣の王子様の恋愛感 【番外編12月7日up】

頬にキスされたことを思い出したら、急に自分の頬が汚い気がして、ゆう君から身体を離してポケットのハンカチを出しゴシゴシと拭いた。

ゴシゴシ拭いても取れない感触に涙が頬を伝った。

悲しくて、悔しくて、・・・こういう気持ちが情けないっていうのかな。

そんな事を思って考えを1人で巡らせていたら、ハンカチを持つ上下に動かしていた手をゆう君の少し冷たい手に掴まれた。



「・・・頬が傷つくよ。」



そうだね。

でも、汚いの。

1度ついた汚れは落とせない。

拭いても無駄だとわかっていても・・・。

自分が軽率だったと後悔しても・・・。



ゆう君のやさしい声色が耳に静かに届く。


「ノリ・・・オレに消毒させて。」





え?

疑問に思う瞬間に、頬にゆう君が唇を寄せてくれた。



目を閉じて、離れる時を待つ。

それは一瞬だったかもしれないし、長い時間だったかもしれない。

私はずーと、永遠に離れないで欲しいと願った。



離れていく気配に目を開け、運転席に戻るゆう君を追うように見る。


「・・・もう1回、して。・・・同じ数じゃ相殺といか・・・差し引かれるだけでしょ?・・・今日はゆう君が頬にキスしてくれた日にしたいの・・・ダメかな?」


ちょっと目を見開くゆう君。

私の大胆発言に驚いたのかな?

恥ずかしくなって、目を逸らすと、ゆう君が笑い出した。


「くす、くすっ。ノリは面白い考え方するなあ~。・・・いいよ、こっちに頬を寄せて。」

「うん!」



ゆう君のシートに手を付いて身を乗り出す。

やる気満々の私に、くすくすと笑いながら、さっきよりゆっくりとした動きでキスをくれた。

でも、それは頬と言うより・・・唇の端のような気がした。


自分では、ファーストキス、的な?


そう思うと嬉しかった。

正確には、唇ではないので、”プチ・ファースト・キス”と命名し後でスケジュール帳に絶対書くと心に決めた。

それでも、嬉しい事には変わりないしね。

女子の癖にガッツキ過ぎかな?!






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