白衣の王子様の恋愛感 【番外編12月7日up】

書類審査と英語の面接をクリアして、私は留学に行ける事になった。

7月から12月までの半年間。

ゆう君に会える!

でも、現実はそう甘くなかったけどね。



「・・・留学するのは、すごいけど、オレはホントに忙しいから、あんまり会えないぞ。」



学校で留学生に選ばれたから、ゆう君の病院の近くの大学に行く事を報告した。

まあ、思った通りの薄い反応だったけどね。


「・・・わかってるよ・・・ゆう君に会いに行くわけじゃないし・・・。」

嘘だ。

負け惜しみ・・・。

何にも負けてないけど!

会いたくて、会いたくてしかたがない。




そして、現実はやさしくなかった。

留学して1ヶ月経っても、ゆう君には会えなかった。

ゆう君は、言った通り忙しそうだったが、私も忙しかった。

毎日、毎日、英語でしか話せないのは苦痛だった。

会話のスピードに付いていけなくて、滞在先の寮で泣いた。

本当は、ゆう君に会えないのが辛かったのかもしれない。


休日は、1日中課題や勉強で終わる時もあった。

みんなに慣れる為に誘われたら外出にも応じた。

次第に、耳も口も頭も慣れてきて、ペラペラとまではいかないが、それなりに会話らしきものができるようになってきた。

本当の意味で何も予定が無い休日が訪れたのは、2ヶ月を過ぎる頃だった。

9月でもまだまだ暑いワシントンに、秋が少しずつ訪れ始めていた。







< 46 / 136 >

この作品をシェア

pagetop