吸血鬼と愉快な嫌忌者達。
目を覚ますと見慣れぬ木の天井。
体を動かすと体全体が悲鳴をあげる。
私はゆっくりと体を起こし、周りを見渡す。
「目が覚めたかい?あまり無茶をしてはいけないよ。
それで早速だけど、君の名前は?」
声がする方に顔を向けると温和そうな人が立っていた。
「私の名前は夜月と申します。この度は助けていただきありがとうございます。」
柄でもない挨拶。
家に無理やり覚えさせられたマナーは体に染み付いている。
「そうか。やっぱり君はヨルさんだったんだね。」
「『やっぱり』とは?」
「私の名前はハルバルト。君のお母さんとは友達だったんだよ。」