吸血鬼と愉快な嫌忌者達。

「学校って何で今更?」
私は母に、私には学校に行く理由がないのに何故今更そんなことを言うの?と聞いたつもりだ。

しかし母は

「大丈夫よ。友達もすぐできるわ。」

と意味不明なことを言っている。

私が聞きたいのはそんなことではないのに。

私が軽く母を睨むと母は困ったような顔になった。
私の赤とは違う母の美しい黒いガラス玉のような垂れ目が小さく歪んでいて、それはまるで母が泣いているようにも見えた。

「貴女が学校に行きたくないのは分かっているつもりよ。貴女は頭がいいから学校に行く必要も無い。

けれど、これは貴女のためなの。貴女は今は人間として生きているけど、本当は吸血鬼。将来、どちらで生きていくのかは貴女次第。だから、吸血鬼の魔族の世界を知っておいて欲しいのよ。」

母を静かに目を伏せた。

おそらく、半分本当で半分嘘だろう。

普段の母ならこんな弱々しい姿を絶対に私に見せない。絶対に。

逆に母が言わないということは私が知らなくていいこと。

ここは母に従うのが無難だろう。
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