ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
++++++++++++
窓枠から部屋へ戻ると、ノア君が鳥かごの柵の間から顔を出し、心配そうに瞳をうるうるさせて待っていた。
「心配かけてごめんなさい、ノア君」
「おかえりなさいませ」
泣き腫らした赤みがまだ目元に残っているのかもしれない。私の顔を見た瞬間、ノア君はさらに不安気に首を傾げた。
でも私はもう大丈夫だ。
シュヴァルツさんがベッドに入ったので、私もそれに習った。
彼は意外とすぐに寝息を立て始めた。
疲れている様子はなかったけれど、多分、人間の血にお酒のような作用があると言っていたのでそのせいだろう。
あんなに張りつめていた緊張の糸が、彼が眠りにつくとフッと弱まっていく。
私は彼が机に置いた小さなランプの火を、同じくそばに置いてあったマッチを使って再度灯した。