ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
第二章◆ヴァンパイアの館
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暗闇から抜けた。
光が眩しくて目を細めた。
見えてきたのはどこかの天井、そこにシャンデリアがぼんやりと浮かんでいる。
すると視界に、赤く光る瞳を持った男性の顔があることに気付き、「嫌!」と声を上げようとしたが、口を開ける前にその男性に塞がれる。
あの白手袋の手だ。
恐怖で逃げようとしたが、体がまったく動かない。
「んんん…!」
うなり声をあげつつ状況を確認すると、その見知らぬ男性が私の体をしっかりと抱き抱えているのだと分かった。