ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋

そして、きっと今から始まる行為は、二回目よりも長く深いものになるはず。彼の目を見ただけで、そう感じる。

今、目の前にいる彼の瞳は、私の体に流れる血を求めて霞んでいた。

「シュヴァルツさん……あの、大丈夫ですか?」

瞳が曇るにつれ、呼吸も荒くなっている。

彼は肩で息をしながら、時折自身を落ち着けようと深呼吸をしていた。

「……喋るな。集中しろ」

絞り出したように掠れたその声は、まるで自分自身に言い聞かせているようにも聞こえる。

「あっ……」

私の首に、彼の牙が立てられ、たちまち考えが途切れた。

彼の唇が体に触れただけで声が漏れるのに、すぐに牙は肌に食い込んでいき、身震いとなって全身を駆け巡っていく。

耳元で、彼の口の中が私の血で溢れ返る音が聞こえてきた。

「ああ、だめ、シュヴァルツさんっ……」

彼の吸血音に合わせ、快感も、迫っては遠くなる波になって襲ってくる。

後ろに手をついてすでに骨抜きの体をなんとか支えていたが、それに反してシュヴァルツさんの体が、どんどん体重をかけて迫ってきて、ついに私をベッドへ押し倒し、両手首を束ねて頭の上に押さえつけた。

拘束されなくても逃げ出す気はないけれど、この体勢は彼の欲望を全身で受け止めているようで、手首から下半身までじわじわと熱くなっていく。

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