ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
体をねじらせ、背にしているシーツが乱れていく。
ゴソゴソと服の中で動いていた彼の手はやがて一度外に出て、今度は器用にブラウスのボタンを上から下まで外していった。
「シュヴァルツさん……」
彼の手に溺れ始めている私は、抵抗することなくそれを受け入れていた。
この先どうなるか、一旦考えることをやめて今この感覚に身を委ねると、それは気持ちがいいだけの遊戯になる。
天井に吊るされた小さいシャンデリアをボーッと見つめていると、胸先に、指ではない湿った快感が走った。
「え……あっ……」
先ほどまで血を啜っていたはずの彼の唇が、今度は私の胸先を吸っている。
意図せずとも体が弓なりに反り、これにはさすがに狼狽えたが、拒否することはできず、そこへ目を向けることをやめた。
目を閉じて、襲ってくる甘い感覚にただ耐えていた。
どうしてこうなっているのか、彼は血を吸うために私を押し倒したはずなのに、今されていることは何なのか……。
夢中で私を押さえつけて触れているシュヴァルツさんの目は、奥が霞み、歪み、焦点があっていない。
いつもの彼じゃない。
「シュヴァルツ様!」
そのとき、鳥かごの中にいたノア君の高い声が部屋に響いた。