クリティカルロマンス
◇◇◇◇◇
私の気持ちを置き去りにして、結婚準備がトントン拍子に進んでいく。
このまま結婚して後悔しない?
青木さんに対して感じたようなドキドキを忘れられる?
刺激のない生活に満足していける?
ただ平穏に過ぎていくだけの平坦な時間をこの先ずっと守り続けていける?
自問自答を繰り返すたびに自信を失っていく。
浮かない気分のまま衣装合わせにやってくると、担当者のミスで予約が重なってしまい、私たちは後回しにされることになった。
「本当に申し訳ございません」
「いえいえ、気にしないでください。僕たちなら大丈夫ですから」
目の前でスタッフが頭を深く下げると、高柳さんが慌ててそれを制する。
大丈夫じゃないくせに。
このあと仕事が入っているって言っていたじゃない。
同僚が突然休みになってしまったから時間があまりないって言っていたくせに。
私の土日休みに合わせて打ち合わせを入れているけれど、ホテル勤務の高柳さんは土日に休めないことは日常茶飯事。