さようなら、ディスタンス。
「その、うまくやってんの? 麻里奈さんと」
「さあね」
「えー教えてよー」
「朝から恋バナだるい」
イヤホンをポケットにしまい、わたしと会話してくれたものの。
具体的なことは何も聞けずに、話題は終わってしまった。
こいつ、彼女とのことあんま喋んないんだよな~。
付き合うんだったらその方が信用できる気もするけど。
国道4号線の信号は青色だった。
まっすぐ進む車は音とともに一瞬で過ぎ去っていき、右折しようとする車は曲がるタイミングがなく次々と詰まっていく。
そういえば。昨日アユが麻里奈さんのインスタ見てって言ってたな。
歩行者信号が赤である今、チェックすることにした。
「……う゛っ」
突然のまぶしさに目をしかめてしまう。
視界に飛び込んできたのは、
キラッキラの絵文字で彩られた文字と、色とりどりの花束に顔を寄せた麻里奈さんの写真。
『昨日は19歳のHappyBirthday!全てに感謝!#誕生日#party#19歳#幸せ#お祝い#・・・』
数えるのがめんどくさくなるほどのハッシュタグ。その下に添えられているたくさんのお祝いのコメント。
相変わらずキラキラしてる。さすがは麻里奈さん、人気者。