さようなら、ディスタンス。
☆
隼人『これから救援出していい?』
隼人『いつも何時ごろ寝るの?』
隼人『未織ちゃん!間違えてグループの方に返事してるよ!笑』
友達から聞いた噂は本当だったらしい。
確かに、最近、隼人くんからのラインがやたら増えた。
「未織ちゃん!」
放課後。教室を出た瞬間、隼人くんに声をかけられた。
「なに?」
「あのさ、彼氏と上手くいってないって本当?」
早足で廊下を進むものの、ぴったり隣をついてこられる。
「別に。そんなことないよ」
「やっぱ遠距離って大変? 寂しい?」
手の甲同士がこつんとぶつかった。
わざとかたまたまかは分からない。
隼人くん話すとき顔近いし、よく触れてくるし、なんだか距離感合わないんだよな。
「まあ寂しいっちゃ寂しいけど」
「だったら今度の花火大会、一緒に行こうよ」
「ごめん無理。次の日光くんのライブだからたぶん東京行くし」
「いいじゃん。俺とデートしよーよ」
「チャラっ」
花火大会は期末テスト後の3連休初日に行われる。
光くんの勝負ライブの前日。
友達みんなと行くならまだしも、隼人くんと2人きりなら迷わず東京行きを選ぶ。