さようなら、ディスタンス。
時間は午後4時半。美羽ちゃんはまだ学童にいる時間だ。
ってことは、あいつ今、家に1人? いや、誰か遊びに来てるとか? でもそしたらお菓子もっと買ってこいって言うよな。
歩道橋の階段を駆け足でのぼる。
2つのシュークリームが入ったコンビニ袋が揺れる。
『何かあったら教えてね』
いやいや。アユにそう言われたけどさぁ……。
「何もあるわけないじゃん」
だって祐希だ。わたしのこと絶対見下してるし、今までそういう雰囲気になったこともない。
しかもあいつ彼女いるじゃん。わたしにだって光くんがいる。
忘れ物を取りに行くだけだ。ただそれだけ。
一切、やましいことはしていない。