さようなら、ディスタンス。
『未織。離ればなれになっても、空はつながってる』
『はい?』
思わず、視線を彼へと戻した。
『ってよく言うけど、そもそも空が遠いじゃん。4号線だったら近い感じしない?』
光くんは首をかしげ、優しい目でわたしを見つめている。
言ってる内容は若干ウザいけど、急に距離をつめられ胸がドキッとしてしまった。
『離れててもこの道で繋がってる、ってこと?』
そう聞くと、彼はふわりと髪を揺らし微笑んだ。
『そんなの気休めだよ。……ちゃんとラインできる?』
『うん。頑張る』
『電話も?』
『するよ』
『ちょくちょく帰ってくる?』
『ゴールデンウィークや夏休みは帰るよ』
『わたしも時々行っていい?』
『うん、おいで』
袖に入れたままの手が引っ張られる。その力に身を任せる。
人気のない歩道橋の上。わたしは彼にぎゅっと抱きしめられていた。
3月の冷たい風に吹かれながらも、くっついた部分から温もりが体中へと巡っていった。