さようなら、ディスタンス。
反射
☆
夏休みに入ったある日。高校時代の友達2人から連絡があった。
1人目は、未織の兄――紫音くん。
『なーなーお前いつ実家帰る?』
彼は仙台の大学に進学している。僕の帰省に合わせて彼も実家に帰るのだという。
「大阪と名古屋のライブ終わってからかな」
『すげーツアーもやってんの? それより動画見たよ。新曲めちゃくちゃいいじゃん』
「ありがとう」
そうだ。未織の様子、紫音くんなら知ってるかも。
「あのさ、未織は最近どう?」
『ん? 俺最近実家帰ってねーしなぁー。たぶんお前の方が詳しいべ?』
「あはは、そうだよね。ちなみに紫音くんは彼女できた?」
未織と別れたこと、紫音くんはまだ知らないのか。
今、電話で言うことでもないから、また会った時に伝えることにしよう。
予定が分かったら連絡すると約束し、通話を終えた。
そして、2人目は……
麻里奈『大阪でライブするんでしょ? 行くよ!』
地元でもよく僕のライブに来て盛り上げてくれた友達――麻里奈だった。
彼女も僕と同じで、地元の大学を蹴って遠い大学に進学した。確か、京都だったっけ。