さようなら、ディスタンス。
「全然モテないよ」
「んなわけねーべ? お前ツイッターのフォロワー数まじやばいじゃん!」
中学時代クラスで目立たないグループにいた僕。
都合のいい時だけ、ずけずけと絡んでくるやつらが苦手だった。
しょうもない目的を成し遂げるために、すぐ僕らを利用してくる。笑いやストレス発散、女子の目を引くため、とか。
その代表格がこいつらだった。
「でもお前、紫音の妹と付き合ってなかった? 今も続いてんの?」
「別れたよ」
手短に伝えると、やっぱりなー、と笑った後、
「どうせお前が浮気したんだべ? ぶっちゃけファン何人食ったの?」
「売れないバンドマンはだいたい女のヒモなってんだべ? あーうらやましい~」
とバカにしたように言い放ち、彼らは女子たちのテーブルへと向かっていった。
怒りが胸に込み上げたものの、別の感情がかき消してくれた。
いつまでも売れないバンドマンではいたくない。
絶対に音楽で成功して見返してやる。