極上恋愛~エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない~
渡辺さんに悪いことしちゃった。

私……前園から逃げることしか考えてなくて、何も見えてなかったかも。

落ち込む私の顔をこいつは覗き込む。

「お前は俺のことだけ考えてればいいんだよ」

その殺し文句、私に使う意味あるの?

「……言う相手間違ってない?」

疑ってかかる私に前園は呆れ顔。

「どこまで鈍感なの、お前。この俺が忙しい仕事の合間を縫ってここまで来てるんだ。いい加減俺が本気だってわかれよ」

「だって今までの前園の素行を知ってるだけに信じられない」

正直に自分の気持ちを伝えたその時、「健斗?」と背後から男性の声がした。

誰?

振り返ればスーツ姿の五十代くらいの男性が前園に目を向けている。

下の名前で呼ぶということは会社の取引先の相手ではない。

この人……前園に似てない?

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