極上恋愛~エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない~
水漏れの件は取りあえず話がついて、大家さんも修理業者も部屋を後にする。

私が荷物を纏めると、前園が私の手からスーツケースを奪った。

「タクシー呼んだ。行くぞ」

「あっ……うん」

前園に促されてアパートを出ると、ちょうどタクシーが来た。

運転手が降りて来てスーツケースを後ろに乗せ、私と前園はタクシーに乗り込む。

運転手が席に戻ると、彼は行き先を告げた。

「新宿までお願いします」

会社の近くのビジネスホテルまで送ってくれるのだろうか?

「前園、今日はありがとう。いてくれて助かった」

こいつがいることに感謝したのは今日が初めてだ。

取りあえず先程の礼を言うが、前園はフッと笑う。

「いえいえ。どういたしまして。うちの知り合いの業者だし、大家さんのことは心配するな。悪いようにはしない」
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