極上恋愛～エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない～

「そう言えば、前園って高所恐怖症じゃなかった？」

私の質問にこいつは平然とした顔で答えた。

「遊園地の絶叫マシーンがあまり好きじゃないだけ」

「……なんだ」

前園の回答にがっかりしてしまう。

「何その残念そうな反応。そんなに俺の弱点を知りたければ、ここに住んで観察するんだな」

こいつは意地悪く目を光らせ私の頰に触れようとする。

「私を挑発したってここには住まないわよ」

パシッとその手を振り払って言い返すが、こいつは私を無視し、スーツのジャケットを脱いで手前にあるソファの背にかけた。

そんな前園をじっと見ていたら、彼はリビングの隣にあるアイランド型のキッチンに行って冷蔵庫を覗き込む。

「さあて、何にするかな？」

シャツの袖を捲ると、前園はトマトを取り出して調理を始めた。