極上恋愛~エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない~
ここを出るなら今のうちだが、残念なことにスマホはあいつが持っている。

ハーッと溜め息をつくと、前園に声をかけた。

「何か手伝おうか?」

「じゃあ、パスタ作るから麺茹でてくれないか?」

前園に頼まれて私もキッチンに立つ。

調理器具も一流品。

なんかお店のキッチンみたいだな。

この鍋も高そう。

サーモンのカルパッチョ、トマトとナスのパスタにシーザーサラダの三品を十五分程で作り、六人がけのダイニングテーブルで頂く。

「前園ってちゃんと料理して偉いね。うちの父なんか全くしないよ」

テーブルに並んだ料理を見ながらこいつを褒めた。

「そういう柚月だってちゃんと自炊してるじゃないか。お前のアパートの冷蔵庫、食材一杯あった」

前園は頬杖をつきながらフッと微笑する。

「私は経済的な理由でだよ。毎日外食してたらお金がなくなっちゃう」
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