極上恋愛~エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない~
前園の名前だけ目について気づかなかったよ。

「君も大変だね」

さっきまで美希ちゃんに連れ回されてたし。

ゆっくり椅子に座る片桐君の頭をよしよしと撫でた。

「うっうっ、藤宮さんだけですよ。僕の苦労わかってくれるの。一生ついていきます!」

泣き真似をする片桐君。

「お前、就職してからキャラ変わったな」

気づけば前園がスーッと目を細め、片桐君を見ている。

ふたり……いや、高野を含めると三人は高校時代同じバスケ部で先輩後輩の間柄。

「ちょっと前園、うちの片桐君いじめないでよ」

片桐君を守るかのようにその頭を抱き締めれば、こいつは盛大な溜め息をついた。

「藤宮、男を見る目なさ過ぎ。そいつ、子羊の振りしてるけど、とんでもないオオカミだぞ」

自分のことを棚に上げて何を言っとるんだ、この男は。

とんでもないオオカミは前園でしょうが!
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