極上恋愛~エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない~
暗くて何も見えない。

何が起こっているの?

驚く私とは対照的に前園はスマホのライトをかざし、全ての行き先ボタンを押す。

「停電かもしれないな」

そう彼が呟いた時、パッとエレベーターの電気がついた。

「非常用の電源に切り替わったか?」

前園はチラリと上のライトを見ると、エレベーターの階数表示をじっと見つめる。

だが、エレベーターは止まったままだ。

「停電で止まったか?」

こいつは小首を傾げる。

「そのうち動くよね?」

少し不安になった私は、思わず前園のスーツの袖を掴んだ。

「オペレーターと話してみよう」

落ち着いた様子でこいつはパネルの非常ボタンを押す。
だが、オペレーターに繋がらない。

「何で反応しないの!」

最悪の事態が頭を過り、パネルに向かって怒鳴った。
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