極上恋愛~エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない~
エレベーターの中に閉じ込められ、スーッと血の気が引いていくのが自分でもわかる。

こんなことは初めてだ。

よくエレベーターの中に閉じ込められたというニュースを耳にするが、まさか自分の身に起こるとは。

「回線がおかしくなったかな?それとも、あっちも混乱しているか」

前園は顎に手を当てながら考える。

私と違いこいつは冷静だ。

エレベーターは三十二階で止まったまま。

もし、落下したら?

三十二階だよ。

エレベーターと一緒に身体も粉々になるんじゃあ?

私達……ここで死ぬの?

「ワイヤーが切れて落ちたらどうしよう?」

そんな不安を口にしたら、前園が私の肩を抱いて普段と変わらぬ余裕のある口調で言った。

「そんなやわなワイヤーじゃないさ」

「でも、絶対ありえないなんて言えないじゃない!」

大声で言い返して、パネルのボタンを連打する。

「どこに止まってもいいから動いてよ!」
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