極上恋愛~エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない~
トクン、トクンと規則正しい彼の心臓の音が聞こえる。

しばらくそうしていると、少し冷静さを取り戻した。

「もう一度オペレーターと連絡を取ってみよう」

私を抱いたまま前園が非常ボタンを押す。

だが、外部と連絡は取れなかった。

「仕方ない。消防に連絡を取るか」

軽く溜め息をつくと、こいつはスマホで消防に連絡する。

今度は繋がり、前園は取り乱すことなく状況を伝えた。

それで、少し外の様子がわかって来た。

新宿区の大部分が停電で、私達以外にもエレベーターに閉じ込められている人がいるらしい。

「救助には一〜二時間かかるそうだ」

前園は電話を切ると、私に伝えた。

「……そんなにかかるんだ」

がっがりして床にへたり込む。

外と繋がって一安心といいたいところだが、こんな狭い空間にそんなに長時間いたら気がおかしくなりそうだ。
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