極上恋愛~エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない~
ニコッと微笑んで柚月と一緒に歩き出す。

すると、彼女が空を見上げて言った。

「あっ、月」

「ホントだ」

空には月が輝いている。

いい気分転換になるな。

とんでもない目に遭ったが無事に脱出出来て良かった。

マンションに着くとエレベーターの前で柚月が深い溜め息をつく。

「エレベーター恐怖症になりそう」

「じゃあ、階段で五十階まで上るか?」

俺の提案に彼女は思い切り顔をしかめた。

「それは勘弁して」

「大丈夫だ。何か起こってもさっきのような手順で救出されるから」

ポンポンと柚月の肩を叩くが、彼女は疲れた顔で返す。

「それ、何の慰めにもなってない」

柚月と一緒にエレベーターに乗り込むが、彼女はまるで命綱のようにギュッと俺の手を掴んだ。

怖いと思う気持ちはよくわかる。
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