極上恋愛~エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない~
12、胸がざわめく
「次は終点、東京です」

新幹線の車内アナウンスが流れる。

お盆は実家に三日間帰省して、今帰りの新幹線の中。

家でゴロゴロしていると畑仕事を手伝わされるので予定より一日早い。

「今回の帰省は滅茶苦茶疲れた」

頬杖をつきながらポツリと呟く。

実家にいる時は、お母さんに前園のことを根掘り葉掘り聞かれて参った。

おまけにあいつが私が帰省する前日に小さな封筒を渡してきて……。

『これ、柚月のご両親に。温泉宿の招待券もらったんだけど、俺八月は休み取れなくて遠出できないから』

うちの両親に渡したら、それは一泊十万はする高級旅館の宿泊券でとても喜んでいた。

相変わらずあいつは人の心を掴むのが上手い。

両親はまだ会ってもいない前園にすっかり惚れ込んでいる。

本人に会ったら、うちの母親なんかイケメン大好物だし、キャーキャー騒ぐだろうな。
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