極上恋愛~エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない~
ズズッと鼻をすすりながら言い訳したら、横からブルーのハンカチがスッと差し出された。

あまりにも自然だったので「ありがとう」と条件反射でそれを受け取って涙を拭えば、すかさず背後から腕を回されて何者かに抱き寄せられた。

だ、誰?

「そんなに俺のスピーチ良かった?」

前園!

固まっている私に前園が極甘ボイスで囁く。

すると、サーッと全身鳥肌が立った。

「ま、前園……離しなさいよ!」

必死に抗うが、こいつはビクともしない。

「恥ずかしがるなよ。俺達婚約した仲じゃないか」

前園がクスクス笑いながらそう言うと、横にいる片桐君が目を丸くした。

「え〜⁉︎嘘ですよね?」

「前園の冗談だから、本気にしないで!」

肘でドンと前園の胸を叩き、借りたハンカチをテーブルの上に投げつけるように置いて否定する。

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