極上恋愛~エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない~
「そんな全力で否定するなよ。傷つくなあ」

前園はわざとショックを受けた振りをしてハンカチをしまうと、私の耳元で声を潜めた。

「涙引っ込んだな」

したり顔でニヤッとして、こいつは優雅な所作で席に戻る。

……私を元気づけようとしたのか。

前園なりに泣いていた私を気遣ってくれたのかもしれないが、周囲の注目を浴びてしまった。

会場にいる女性の視線が私に突き刺さって痛いんですけど。

おまけに高野が私と前園を見てニヤニヤしている。

あー、絶対誤解された。

だが、ここで声を大にして誤解を解くわけにはいかない。

恨みがましく前園を睨みつけるが、こいつは平然とした顔で会社の同僚の出し物を見て笑っている。

ああ〜、ナプキン投げつけてやりたい。

一通り出し物が終わると、新郎、新婦との写真撮影会に突入。


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