極上恋愛~エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない~
白石さんのことを前園に言っても仕方がない。

「テディベアか。そういえば、お前のアパートの鍵についてたキーホルダーもクマだったな」

こいつは鍵のことを思い出してニヤッとする。

きっと、秘書室で私に鍵を返した時のことを思い出しているのだろう。

あの時言い訳するの大変だったんだから!

「昔からクマが好きなの」

沸々と怒りがこみ上げてきてムッとしながら言うが、前園は気にした様子もなくにこやかだ。

「探してみるよ。もっと高い物頼めばいいのに、欲がないな」

「あら、私の趣味にケチつける気?」

挑戦的な目で言えば、こいつはフッと笑った。

「いいや。意外性があって可愛いよ」

彼の言葉にボッと火がついたように顔が熱くなる。

『可愛い』……なんて言われたことあっただろうか?

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