極上恋愛~エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない~
美希ちゃんの要求に、片桐君は意地悪く言った。

「ありのままの姿しか撮れませんよ」

「片桐君、私達に喧嘩売ってる?」

美希ちゃんはギロリと睨みつけるが、彼は澄まし顔。

「いいえ。ほら、立花さん、その顔、鬼みたいですよ」

片桐君の指摘に美希ちゃんはハッとしして笑顔を作る。

パシャと写真を撮る音がすると、彼女はすぐに表情を変え、目を細めて彼に迫った。

「片桐君、女の子に『鬼』って何なの?」

彼は何食わぬ顔で彼女に言い返す。

「だって本当に鬼に見えたから。一応顔整ってるのに、そんなんだと彼氏出来なくなりますよ」

「かーたーぎーりー!」

美希ちゃんは、鬼ババアのような低いかすれ声で彼を呼んだ。

全く、このふたりは、毎日やり合ってるな。

「はーい、暴力はダメよ、美希ちゃん。片桐君も『一応』美希ちゃんが綺麗って言ってるからね。片桐君も怒らせるような言い方わざとしないの」
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