極上恋愛~エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない~
自虐的な笑みが込み上げてくる。

前園は……なぜ私に教えてくれなかったのだろう?

結婚とか言ってたけど、本気じゃなかったのかな?

彼への信頼が一気に崩れる。

片桐君に襲われそうになったことよりも、前園の正体の方がショックだった。

思い当たる節はいくつもある。

あの豪華なマンション、あいつの立ち振舞い、身につけているもの、あいつの父親……。

今日はあいつのマンションに帰る気になれず、電車に乗って自分のアパートに帰る。

水漏れのこととかもう頭になかった。

前園から……彼のテリトリーから逃げたかった。

久々に帰ったアパートの郵便受けには、郵便物やチラシがいっぱい入っている。

無造作にそれらを掴んで鍵を開けて部屋に入った。

時刻は午後九時半過ぎ。

水漏れしたせいか、カビ臭い。

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