極上恋愛~エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない~
そういうことだよね。

私だけ浮かれていたんだ。

「私って……馬鹿だよ……ね」

悲しくてスーッと冷たい涙が頬をつたる。

その夜、私に眠りは訪れなかった。



辛いことがあっても朝は毎日やって来る。

会社だって平日はあるし、恋に疲れている場合じゃない。

次の日の朝、機械的に動いて会社に行く。

スマホに前園からのメッセージがあっても、見ないようにした。

秘書室の前に着いた時、昨夜の片桐君のことを思い出して入るのをためらう。

でも、美希ちゃんや他の秘書の子達の声が聞こえたので、いつもと変わらぬ様子で入って挨拶した。

「おはよう」

片桐君と一瞬目が合ったが、「おはようございます」と彼は表情も変えずに言ってすぐに目を逸らす。

彼の周りの空気が少しピリピリしているように感じた。
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