極上恋愛～エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない～

彼女のナシの人生なんて考えられず、逃げられないよう結婚に向けて外堀埋めていってるんだから。

あと一時間で成田というところで急に空調が止まった。

機内がムシムシしてきて、空調の不具合とのアナウンスが流れる。

額に汗が滲み、窓際の席にいる赤ちゃんもこの暑さに参ってギャン泣き。

お母さんが抱いて必死にあやすが、赤ちゃんは泣き止まない。

周囲の目を気にしてお母さんは席を立つが、その時前の席にいた三十代くらいの大柄の男性が突然その親子に襲いかかった。

「うるせえんだよ！」

怒鳴り声を上げながら母親の頭を殴る男。

母親は「キャー」と叫び、前屈みで子供を守る。

慌てて俺は席を立ち、背後から男の両腕を押さえつけた。

「逃げて！」

母親に声をかけるが、男は大暴れして俺の腕を振り払うと、機内食で出していたワインの瓶をシートに叩きつけて割った。