極上恋愛~エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない~
騒然とする機内。

閉鎖空間で周囲にいる乗客は逃げ惑っている。

だが、枚や白石さんは呆然とした様子で俺と男を見ていた。

「牧、白石さん連れてここから離れろ!」

牧に向かって声を張り上げると、男は瓶の欠片を手にして叫びながら俺に飛び掛かる。

「邪魔するな!」

「正気になれ!」

腕を盾にして相手の攻撃を防ぐが、瓶の欠片でスパッと切られた。

血がポタポタと腕から流れ落ちる。

それを見た白石さんの悲鳴が聞こえた。

相手は大柄で結構俊敏な動きをする。

恐らく武道経験者だろう。

最近、俺ってトラブル続きだな。

自虐的になりつつも、男を睨みつけて急所に蹴りを入れた。

こんなところで死ねるか。

俺には彼女に伝えなきゃいけないことがある。

柚月の元へ帰るんだ。

「うっ!」

男は顔を歪めるが、また俺に手を振り上げて襲って来た。
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