極上恋愛～エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない～

本当に良かった。本当にーー。

「あー、コホン」

わざとらしい牧君の咳払いが近くで聞こえてハッとする。

声の方を振り向けば、牧君や美希ちゃん、白石さん達がそこにいて、「あっ」と間抜けな声を出した。

どうしよう〜！

すっかり彼らの存在を忘れてた〜！

きゃあ〜、恥ずかしい〜！

慌てふためきながら前園と離れようとするも、彼がしっかりと私の身体をホールドしている。

「お取り込み中すみません。俺達先に帰りますね」

牧君が遠慮がちに声をかけると、前園は抱擁を解いて、ポケットから財布を出し、お札を抜いて牧君に手渡した。

「みんなでタクシーで帰れよ」

「ありがとうございます！」

牧君はニパッと笑うと、体育会系のノリで深々と頭を下げてお金を受け取る。

ふたりのやり取りに気を取られていたら、白石さんが私に近づき声を潜めた。