極上恋愛~エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない~
「だって、無事かどうかもわからなくて心配したんだもん。帰って来なかったらどうしようって……」

俯いて言い訳する私の頭に前園は手を添えて、私を包み込むようにしっかりと抱き締めた。

「ちゃんと帰って来たよ」

私の耳元で言う彼の言葉に涙ぐみながら頷く。

「うん」

それから空港を出ると、タクシーに乗った。

後部座席のシートに少し疲れた顔でもたれ掛かる前園。

よくよく見ると、シャツにところどころ血がついている。

「腕の怪我酷いの?」

「急所は外してるから平気だ。利き腕じゃないしな」

前園は笑って言って、私を安心させようとする。

「飛行機の中で何があったの?」

事件の詳細を聞くと、こいつは商品説明でもするかのように何食わぬ様子で語り出した。

まず飛行機の空調が壊れて機内が暑くなり、近くにいた赤ちゃんがぐずって、それに怒った男性が赤ちゃんとその母親に襲いかかったらしい。
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