極上恋愛～エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない～

「……それで、俺が止めに入って、男ともみ合いになったんだ。その時、腕をガラスの破片で刺されたが、何とか男を取り押さえて、事なきを得たわけ」

ついさっきまで恐怖体験をした人の発言とは思えない。

まるでマジックの種明かしでもするかのようなその口調。

「自分が危険とか考えなかったの！」

なんて無茶をするんだろう。

つい強い口調で前園を責めてしまった。

「小さい頃から武道はやってたし、誰かが赤ちゃん助けなきゃって思ったんだ。それに……」

前園は急に言葉を切ると、真摯な目で私に言った。

「お前に伝えたいことがあるから、死ねないって思った」

その言葉が胸を打つ。

もっと、怒りたかったけど、目頭が熱くなって声が出なかった。

そんな私を見て、前園はそっと自分の胸に私を引き寄せる。