極上恋愛~エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない~
「じゃあ、仲間だな。俺も実家に好きな女を連れて来るのは初めてで緊張している」
その顔はどこか楽しげ。
これのどこが緊張しているのよ!
「嘘つき。その余裕顔。全然緊張なんてしてないでしょう!」
少し膨れっ面になりながら否定すれば、健斗はニヤリと笑う。
「そこは、俺の言葉にうっとりするとこだぞ」
「あんたね……」
健斗の発言に呆れたが、こいつは急に表情を変え、優しい目で私にアドバイスした。
「大丈夫だ。いつものお前でいい」
その言葉に胸がキュンとなる。
こういうところ……狡いって思う。
最初に私をからかって、次に優しくしてくるから、ついときめいてしまうのだ。
「ああ〜、もう骨は拾ってよ!」
テンパッて弱音を吐く私に、健斗はハハッと笑いながら突っ込む。
「お前は特攻隊か。ただうちの両親に会うだけだろ?ほら、行くぞ」
正面玄関にある十五段程の階段を健斗と上って行くと、ドアが開いて五十代くらいの女性が現れた。
「健斗さん、お帰りなさい。柚月さんもよく来てくれました」
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