極上恋愛～エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない～

にこやかに声をかけて来たその女性を見て彼は頬を緩める。
「多江さん、久しぶり。柚月、こちらは多江さん、うちのお手伝いさんだ」
健斗に紹介され、多江さんに軽く会釈する。
「はじめまして。藤宮柚月です」
「女優さんみたいにキレイな方ですね。旦那様も奥様も居間でお待ちですよ」
多江さんはにこやかに笑う。
彼女に案内されて居間に向かうが、百メートルはありそうな長い廊下には畳三畳分はありそうな大きな桜の絵が飾られ、金の装飾がされた豪華な花瓶には紫をメインにした華やかな花が生けてあった。
まるでホテルみたい。
そんなこと思いながら居間へ向かうと、健斗のご両親が笑顔で迎えてくれた。
彼のお父様にお会いするのは二度目だが、お母様の方は初めて。
顔の輪郭が健斗に似ていて、背は私くらい。髪はアップにしていて凛とした雰囲気の美人。
濃いブルーのワンピースを品よく着こなしている。
きちんと自己紹介をすると、手土産をお母様に差し出した。
「これ『榊亭』の洋梨タルトです」
健斗にご両親の好みを聞いて用意したものだ。