極上恋愛～エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない～

「あら、気を使わせてごめんなさい。これ、主人も私も大好きなのよ。ありがとう」
彼のお母様はにっこりと微笑むが、目は笑っていない。
なんとなく嫌な予感がした。
私……歓迎されてない？
ソファに座ってコーヒーを飲みながら健斗が私達の馴れ初めを簡単に説明すると、お母様は私に矢継ぎ早に質問してくる。
「柚月さんはご実家はどちら？華道や茶道、日舞の経験はあるかしら？」
き、き、きたー！
ドラマのようなこの展開。
「実家は福井で、農家です。生憎華道や茶道などはやったことがなくて」
なるべく印象を悪くしないようにお母様の目を見て答えたが、彼女はそんな私を笑い飛ばした。
「そう。それでうちに嫁ぐつもりなのね。今の子は恥知らずと言うか」
「母さん！」
健斗と彼のお父様が声を揃えてお母様を注意するが、彼女は構わず続ける。
「だってそうでしょう？それでは人前に出て恥ずかしいじゃないの」
「へえ、その立派なたしなみを身につけてる母さんは、今自分がどんなに礼儀知らずかわかっているのかな？」
健斗がお母様に冷ややかに言う。
これは……相当怒っている。