極上恋愛～エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない～

彼のお母様もそれがわかったのだろう。
声を震わせながら言い訳した。
「……だって、前園家の嫁なのよ。知性と教養があるお嬢さんでないと……?!」
「くだらない。俺の選んだ女にケチつけるなら、もう二度とここには帰らない」
お母様の言葉を遮り、彼は厳しい口調で言い放つ。
最悪の状況。
空気がピリピリしている。
「柚月、帰ろう」
立ち上がってここを出ようとする健斗の手を掴んで引き止めた。
「待って。私のために喧嘩しないで」
こんなの嫌だ。彼が私を守ってくれたのは嬉しいけど、そのせいでこの親子が喧嘩するなんて……。
「柚月……？」
健斗は私の言動に驚いたのか、目を見開いて私を見つめる。
「前園家の嫁になるには、知性と教養が必要なのでしょう？だったら……」
スッとソファーから立ち上がり、健斗のお母様に身体を向けた。
「健斗さんのお母様、私に花嫁教育して下さい。お願いします！」
ペコリと深く頭を下げ、返事を待つ。
数秒の沈黙の後、お母様の声が耳に届いた。
「いいわ。あなたに教えてあげましょう」
顔を上げて彼女の顔を見なくても、自信たっぷりに微笑んでいるのがわかる。