極上恋愛～エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない～

こういう展開は、健斗についていくことを決めた時から覚悟はしていた。
結婚はふたりだけの問題じゃない。
だから、彼の家族にだってちゃんと認めてもらいたいのだ。
その夜、健斗のマンションに帰ると、彼はジャケットを脱いで私を振り返った。
「良かったのか？あんなこと言って」
呆れと心配が半々と言った顔だ。
「うん。今まで女らしい習い事、やったことがなかったの。いい機会だと思って」
笑ってそう答えたら、彼は私の頬に手を添え、私の心まで読むような真っ直ぐな目で見つめてくる。
「あまり無理するなよ。母さんはプライドだけは高くて、結構面倒な人なんだ。適当にあしらえばいい」
以前健斗からお母様のことを少し聞かされていた。
彼女の実家は旧華族という由緒正しい家柄で、生粋のお嬢様だったらしい。
イギリス留学の経験もあり、語学は堪能。
お母様も健斗のように完璧人間だと思っていたが、お嬢様育ちのせいか、家事は全く出来ないとか。
「そんな失礼な真似は出来ないよ。健斗を産んでくれたお母さんだもん。見てて、全部習得して健斗のお母様に必ず認めてもらうから」
自分の意気込みを伝えたら、彼は笑った。