極上恋愛~エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない~
「お前の気持ち、きっといつか母さんにも伝わるよ」
その言葉がすごく嬉しかった。
付き合ってから知ったけど、健斗はいつも私を温かく見守ってくれる。
だから、彼のためにも、自分のためにも頑張るんだ。



それから一ヶ月間、会社が終わると、健斗の実家に通い続けた。
月曜は茶道、火曜は華道、水曜は日舞、木曜はダンス、そして、金曜が着物の着付け。
身体はクタクタ。その上なかなか彼のお母様から合格点がもらえない。
『この程度で足がしびれるなんて見苦しい』とか『ホント、何度教えたらわかるのかしら』と溜め息交じりの声で言われ、凹んだことが何度もある。
でも、落ち込んだ時は健斗が料理を作ってくれたり、身体をマッサージしてくれて私をたっぷり甘やかしてくれた。
今日もお母様からたくさんのダメ出しを食らって、ひとりとぼとぼと帰宅。
時計を見れば午後十時過ぎ。
健斗はまだ帰っていない。
「そう言えば、今日は接待で遅くなるって言ってたっけ」
玄関を上がると、真っ直ぐ寝室に向かった。
「今日のおさらいしようかな」
リビングのソファでのんびりしたいところだが、そうもいかない。
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