極上恋愛~エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない~
前園はどこか不審顔で私をじっと見据える。

「じゃあ、また明日!」

手をあげて元気よく別れの挨拶をするが、足がもつれて倒れそうになった。

「あっ!」と叫ぶと、すかさず前園に身体を支えられる。

「どこが大丈夫だ、馬鹿」

その言葉にカチンときて仏頂面で言い返した。

「前園に馬鹿呼ばわりされたくありませ〜ん」

「じゃあ酔っ払い、帰るぞ。タクシー呼んである」

こいつに厄介者扱いされながら待っていたタクシーに乗り込む。

「私の家までお願いします」

タクシー運転手にハッキリと告げたが、横から溜め息交じりの声で前園が私の住所を告げた。

「すみません。中野まで」

なんで私の住所を知っているのか?

そんな疑問を抱いたが、タクシーに乗った途端睡魔が襲ってきた。

まぶたがだんだん重くなる。

「前園……眠い。着いたら起こして」
< 46 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop