極上恋愛~エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない~
強そうに見えて、こいつは弱い。

なのに必死に強がる藤宮を見ていると、胸が苦しくなる。

女に関心のなかった俺をこいつだけが捕らえた。

本人は無自覚だけど……。

結婚を考えるようになったのも、彼女を好きになってからで、こいつなら一生一緒にいたいと思った。

二十分ほど車に乗っていると、タクシーは薄暗い公園の前を通り、小さな路地に入って停車した。

右横に古ぼけた二階建てのアパートがある。

ここがこいつのアパート?

うちの会社の給料は割といいはずなのに、なんでもっと綺麗なところに住まないのか。

「藤宮、着いたぞ」

彼女の肩を揺すって声をかけると、ムクッと起き上がった。

素早くカードで支払いを済ませ、藤宮の腕を掴んで一緒に降りる。

珍しく酔っているし、ちゃんと家に入るのを見届ける必要があった。
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