極上恋愛~エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない~
チクリと嫌味を言えば、私達のやり取りを見ていた朱莉に突っ込まれた。

「ふたりとも今日は仲良くね」

フフッと微笑む彼女を見てハッとする。

いけない、つい前園のペースに乗せられてしまった。

「お前ら相変わらずだな」

高野も私と前園を見てクスッと笑うと、朱莉を連れて退場する。

徐々に私の視界から遠ざかるふたり。

高野は今日から朱莉の旦那様だ。

それに、朱莉は会社を辞め、今後は高野の母親について高野家の嫁としての振る舞いを学ぶらしい。

もう会社で彼女とランチを一緒にすることもない。

失恋の上に、親友も片思いの相手に取られ、胸にポッカリ穴が空いてしまったかのようだ。

みんな遠くへ行っちゃった。

感傷に浸っていたら、前園が馴れ馴れしく私の肩を抱いて囁いた。

「頑張ったな」

不意にかけられた言葉に目頭が熱くなる。
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