極上恋愛～エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない～

「前園、口紅ついてるぞ」

「……ああ」

小さく頷いて手でサッと口元を拭う。

「やっぱりお前と藤宮、付き合ってたんだ？俺の結婚式の時から怪しいとは思っていたんだよな」

高野はプロジェクターを準備しながらニヤリとする。

「まだ付き合ってはいない。俺が口説いてるところだ」

高野の発言を否定して微笑すると、こいつは当然のように言った。

「じゃあ、いずれ付き合うだろ？お前が口説いて落ちない女はいないさ」

「藤宮は手強いよ」

柚月の顔を思い浮かべて反論すれば、高野は急に真剣な表情で俺を見た。

「だからお前が夢中になるんだろ？俺と奥さんの大事な親友だ。泣かすなよ」

お前に言われたくない……そう言い返したくなったが、「わかってる」と静かに返事をして応接室を後にした。