極上恋愛~エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない~
眉を潜めて聞くと、母は明るい声で答えた。

『ハンサムでしょう?あんたのお見合いよ』

「また?」

不満の声を上げるが、母は構わず続ける。

『こないだ偶然お母さんの高校時代の友達に会ってね。子供の話になったのよ』

「はい、はい、それで」

適当に母の話を聞き流すことに決めて、先を促した。

『柚月が東京の会社で働いているって言ったら、友達の息子さんも東京の大学病院に勤務しているらしくって、それでお互い独身だし会わせてみせようってことになったの』

本人がいないところで勝手に決めて……。

「あのねえ、まずは私に相談してからにしてよね」

溜め息をついて文句を言うが、母は呑気に笑いながらこちらが頭が痛くなるような発言をした。

『でも、八月の最初の日曜日に東京のホテルで会う約束しちゃったあ』

何が約束しちゃったあ……だ!
< 94 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop