ぽっちゃり彼女を手に入れる方法
ぽっちゃり彼女を手に入れる方法


俺は昔から"モテる側"の人間だった。
自分が"格好いい"とか"イケメン"とかいう部類に入るのだろうとは思うが、一体どこが女受けするのかはよく分からない。

そして俺は自分がそんな容姿に生まれてしまったことを今人生最大級に呪っている。

密かに想いを寄せている莉央ちゃんのタイプが自分ではないことが分かったからだ。

"莉央ちゃん"は同じ会社に務める25歳。マシュマロボディでとても可愛らしい女性である。
あの柔らかそうな体を抱き枕にして眠ったらさぞかし幸せな夢が見れることだろう。


白くて少しピンクがかった肌に思いっきり吸い付いてむしゃぶりついたら彼女は戸惑って泣いてしまうのが目に見える。
加虐心を擽られるのだろうか。とにかく可愛い。

清潔感のある身だしなみと仕草。優しく穏やかな言葉遣い。
女神としか思えない。

今日も莉央ちゃんを一目拝もうと資料庫まで行くのを遠回りしてまで足を運んだ時だった。
可愛い可愛い莉央ちゃんが先程俺の同期と話しているのをたまたま聞いてしまったのだ。

「高崎さんみたいな人は恋愛対象外です。というか、向こうにとって私が恋愛対象外といいますか…。私にはあんな格好いい人の隣に立つ勇気ないですし、もっと安心出来るような人がいいです。」

どれだけ俺が落ち込んだかはご想像にお任せしよう。
とにかくその後は仕事を早く終わらせて自宅でヤケ酒しようという一心だった。



「おいおい高崎、振られたからってそんなにカリカリするなよ。お前モテるんだからまた別のおデブちゃ…っじゃなかった、ぽっちゃり女子狙えばイチコロだろ。」

仕事中に声をかけてきたのは先程莉央ちゃんに「高崎みたいなイケメンを彼氏にするとしたらあり?」という俺の恋心を粉々に砕いてくれた質問をした同期の中橋だった。
唯一俺が莉央ちゃんを好きであることを知ってるいる中嶋が微塵もない親切心を間違った方向で発揮したせいで俺のメンタルは殺られてしまったというのをこいつは分かっていない。

そして莉央ちゃんの名誉の為言っておくが、莉央ちゃんは断じておデブちゃんとやらではない。
確かにむちむちしているのでそういう風に言う輩はいるだろうがあの身体は奇跡だ。
俺のように女性に柔らかさを求めるような男に莉央ちゃんは目の毒。
1度見てしまうと目が離せなくなる。
そしてそのまま触りたくて触りたくて仕方ない欲求を無理矢理押し込めるのだ。


仕事帰りにコンビニでビールを買う。
部屋で結局ヤケ酒することになっている俺はビールを5本飲んだ当たりでよく分からない自信を感じ始めていた。
莉央ちゃんは俺がタイプではないのだとしても、それは今現在のことであって未来は分からない。
俺は莉央ちゃん一筋だということを分かって貰えば"安心出来る彼氏"になれるはずだ!!


6本目のビールに手を伸ばしながらニヤニヤしながら莉央ちゃんとしたい事を妄想する楽しい夜を過ごしたのだった。




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